仲間に感謝 ~コロナウィルス初日~

ちょっと仕事の話を久しぶりにしようかと…
基本的に自転車レースブログなんだけど、記憶が鮮明な内に仕事のことを記載しておく。

なぜ仕事の話を記載しようかと思ったかというと…
自転車競技を初めて以来、過去最も嬉しかった“富士ヒルクライム優勝”と同じぐらい嬉しくて、感極まって涙したような出来事だったので、記録しておこうと思いました。

そして、この内容が現在最も着目されている内容の一つであると思ったこと、同業者の何かしら参考になるかと思ったからです。

まず、私の仕事から説明させてもらいます。
私の職場は、大阪府八尾市にある社会医療法人医真会 八尾総合病院を母体とした医真会グループの一つである「医真福祉会」という社会福祉法人です。
その医真福祉会の中に「さとやま」という拠点があり、そこの施設長をしています。
今回は、私の職場である「有料老人ホームさとやま」で生じた一連の流れや出来事を記載する。

それは1本の電話から始まった。

 

9/29 <14時>
当施設に訪問診療に来てくれている診療所の看護科長より1本の電話が入った。

「残念なお知らせです。病院受診した入居者Cさんが、コロナウィルス抗原検査陽性でした。色々と大変でしょうが、頑張って下さい。」といった内容であった。

実に残念なお知らせだ…そんなお知らせ要らんぜ!!!!!

私は、法人本部を統括している本部長の元に伺っている最中であったので、その内容を報告し、早々に施設に戻ることにした。
本部長の元で電話を受け取ったのはラッキーだった。
対面ですぐに報告できるので、細かく内容を伝える事が出来た。

車に乗ると同時に、私の代わりにいつも現場を取り仕切ってくれている副課長へ連絡し、現時点で考えている行動を簡単に説明し、行動してもらうように依頼した。

車の移動中は、コロナウィルスが蔓延してから現在まで毎日毎日八尾市がメール送信してくれている厚労省が発表している“○○通知・○○の取り扱い・○○対応・○○のお知らせ・○○最新情報”などのPDFの内容を思い出し、コロナウィルスが発生した際の対応を思い出した。
正直に言うと、そのPDFメールは多い日には複数回届き、添付資料も4つとか5つとか…
1PDFで何十ページも記載されている物もあり、こんなもん毎日送って来て“情報流しているからちゃんと読んどけよ!情報は流してるんやから、読んでないのはお前らの責任やぞ!”と言われているようでむかいついていたwww

これは完全に私の被害妄想というかネガティブ思考であるが、実際に読みにくいし、目次的なものがあって綺麗に整理されて分かり易いものでもないし、とにかく気持ちの良い資料提供とは感じていなかった。
おそらく、大多数の人が同じ認識だと思うのだが…
親切にメール送信してくれている公務員の方には失礼だが、本音を記載しておく。

そんなひねくれたおじさんなので、本当に重要そうな物を少し読む程度でしか情報を得ておらず、全部は読んでいなかった。(きっと同業界の人は同じだと思う。しらんけど!)

 

<15時>
施設に戻り、まずはC氏のカルテを開いた。
Cとは、コロナのCを取っただけであるので、イニシャル文字ではないよ。
いつから発熱していて、その2日前はいつか?直近の接触者や生活の流れを見直した。

C氏は居室から出られることがほとんどない入居者さんであるが、発熱2日前の生活では、談話室にて過ごすこと、入浴、レクリエーションに参加していることが居室からの移動であった。
発症日から2日前というのが1つのポイントです。

カルテに一通り目を通し、母体である八尾総合病院の医療安全管理室の科長さんに連絡し、今後の流れなどのアドバイスを頂いた。

濃厚接触者の洗い出しであるが、C氏は痰や唾液の吸引が必要な方なので吸引実施者は全て濃厚接触者となることが分かった。
それ以外にも様々な情報を提供してもらい、私の理解もグッと深まった。

やはり、それを専門として仕事をしているだけあって、話が分かり易い!!!

今後保健所との連絡でどのような内容が聞かれるのかを教えてもらえたので、事前に行動しておくことが出来た。

我々は医療・介護に特化したグループなので、それぞれの分野で専門職が所属しているので、うまく連携を取れることはかなり大きいメリットだ。
そして、介護施設にしては珍しい方だと思うが、当法人は全て電子カルテを導入しているので、過去の記録の振り返りや情報の抽出などが容易にできるので、とても助かった☆

16時より面接が2件入っており、17時半からはリハスタッフ12名に対して1時間前後話をする予定であったのだが、リハスタッフの集まりは中止とさせてもらい、面接のみ実施した。
面接の前に、相談員さんに全ての入居者家族に「病院受診した入居者さんにコロナウィルス抗原検査陽性者が出たため、面会は完全に禁止とする」ということを連絡するように依頼した。
それと同時に、面接のために来てくれていた現場を託している看護主任さんに一連の流れを伝えてから、面接に入った。
「こんなタイミングで面接2件か…」と少し思ったが、採用活動は重要課題であるため否定的な気持ちはほとんど湧かなかった。
そして、そのおかげで頼りがいのある主任さんが休みなのに来てくれていたのでラッキーだ!www
主任さんありがとうございます。

とは言いつつも、面接がなくとも来てくれる責任感の強い主任さんなので、結果は同じことかもしれないが…
本当についていた!
面接中は、何度も私の携帯は鳴っており、面接後が大変だということが容易に想像できた。

面接を終えると、現場がざわついており、職員さんが混乱している…

事務所の職員さんには情報を伝えており、その他の職員さんには混乱を来すために、まだ情報を流さないように依頼していたのに…
「コロナウィルスの感染が出た!」ということでワチャワチャしていた!!!
どうやらご家族が、現場職員を捕まえてはそのことを話していたらしいwww

すぐに、当日勤務で深いところまで話の内容を理解してくれる職員さんに「抗原検査陽性なので、まだPCR陽性ではない!」ということを伝え、現場のバタつきを終息させるために当日勤務の職員さんへ説明してもらうように依頼した。

ここからは、ひたすら情報収集と生理、そして保健所の保健師さんとの連絡が永遠に続く…
様々な情報を準備して提供することとなる。

職員間で伝達ゲームが始まると、正確な情報が発信されずパニックになる方も必ず居てるので、早々に職員さん全員に対してメールを作成して送信した!

From: 有料老人ホームさとやま
Sent: Tuesday, September 29, 2020 5:07 PM
Subject: コロナウィルス抗原検査+

さとやま職員さんへ

お疲れ様です。
本日、有料老人ホームさとやまの寝たきりの入居者さんがコロナウィルスの抗原検査陽性との結果が出ました。
PCR検査の結果ではないので、コロナウィルスが発生した訳ではありません。
しかしながら、施設ではコロナウィルス患者が生じたということで対応して行きます。

現在、保健所と連携を取り、様々な取り組みを行っています。
現時点では、濃厚接触者の洗い出しという作業を行っています。
有料老人ホームの看護職員と歯科職員は、該当入居者の吸引を行ったため濃厚接触者の扱いになるかと思われます。
その点についても、現在保健所と調整中です。

再三言われている三密を避け、手洗いうがい消毒等行って下さい。
どうぞよろしくお願い致します。

さとやま 兼松

私の職場には総勢110名の職員さんが勤務しているので、伝達ゲームはリスクが高過ぎる!!!
実際に、「私はどうしたら良いのですか?私は濃厚接触者ですか?PCR検査は実施するのですか?PCR検査してもらえませんか?」など、早々に質問を投げかけてくれる職員さんが居てるので、全員に個別で対応していては保健所との連携が円滑に行えないので、まずはメールを送信した。

併設しているデイサービスの利用者さんにも連絡するようにデイサービス主任さんにも依頼し、事務所はテレアポの事務所!?って感じで電話対応で騒がしくなっていた。

そんな中、私は副課長と看護主任さんと協力し、職員の直近2週間の体調不良者の洗い出し、入居者の直近2週間の発熱者の洗い出し、C氏の行動履歴、接触者リスト作成などなど、電子カルテを最大限生かして情報収集を行い、保健所の担当保健師さんに情報を伝えた。

私の前で家族へ連絡している相談員は、だいぶ苦戦している。
ご家族からすれば、コロナウィルス発生施設に両親や配偶者が入っていると思うと気が気でないのは分かる。
抗原検査とPCR検査の違いが分からない家族が大半だろうし、実際に職員の大多数も理解していない状況であり、相談員も詳しいことを聞かれては答えられないのだ…

そして、ここぞとばかりに施設の対応を批判してくる家族があり、大変だ!!!
「このご時世に面会禁止にしていないのがおかしいと思っていた!」「職員が一人ずつ来訪者に検温を実施すべきだと思っていた!」などなど…
「自分自身が面会に来ていて言う言葉ではないですよね…」と愚痴も言いたくなるぐらい疲弊していた。
電話対応している職員さんの心のHPが、ガンガン減って行くのが目に見えるようであった。

しかし、それもこれもコロナウィルスのせいであり、利用者さんやご家族や職員さんが悪いのではない。

このご時世に面会禁止にしていないのが珍しいのかどうかは知らないが、「世間がそうだから、我々もそうだ!」という右に倣え感覚の同調圧力に屈して面会禁止にするのではなく、しっかりと検討した結果、面会を禁止にしないという選択をしたのです。
それは私の判断であり、それを理事長が承認して頂けているということです。

まず、当施設は入居定員56名で常時53名前後の方が入居されています。
その内、1年間で入居者さんの入れ替わりは年間10名~15名です。
また、終身施設として24時間看護職員が常駐して看取り介護看護を提供しているため、老人ホームとしては珍しく平均介護度が3.5前後(ほとんどの方が車椅子から寝たきりの方)となります。
介護度が高いこともあり、入居者さんが外出されるということはほとんどなく、施設内で過ごされています。
医療機関への外来受診者もほとんどなく、大半が訪問診療による往診となります。
そして、面会簿を見れば明らかであるが、不特定多数の方が来訪されることはなく、決まったご家族が決まった入居者さんの元へ向かうのです。
1日の訪問者は、往診医や看護師などを入れても15名前後である。
また、全室個室であり、多床室はない。

上記内容を考慮すると、入居者さんがコロナウィルスに感染するリスクは…
1、職員を媒体とする。
2、訪問診療など、往診医や訪問看護職員を媒体とする。
3、ご家族が媒体とする。
上記3つが考えられました。
そして、入居者さんと接する機会が最も多いのが、老人ホーム職員45名が最たる者となり、訪問診療職員やご家族は少数となります。

そこで「面会はできるだけ控えてもらうこと、検温を実施すること、マスクを着用すること、三密を…」など、当然の感染予防対策をご依頼した上で面会を許可していました。
それは、入居者さんを思って毎日来訪されているご家族(高齢者が多い)の生活パターンを変えたくなかったこと、ご家族が来訪されることで癒されている入居者さんの精神面の安定を図りたいこと(ご家族も同様)、職員が媒体とするリスクが最も高いのでご家族を完全面会禁止にするメリットがそれほど感じられなかったことなどが、面会許可していた理由です。

しかし…コロナウィルス感染者が出れば、世間と比較され、このご時世に面会禁止にしていない対応がマズイ!と言われるのです。
勝てば官軍負ければ賊軍…とはこのことです!!!
そう!結果が全てなのです。
実際に、保健所の方にも「面会は禁止にされていないんですね!?」と少し驚かれました。

いかん!話を戻します。

 

<20時>
保健所から依頼されたリストやデータは全てお渡しし、保健所からの指示を待つ形となった。
その間にストックしていた防護服の準備や現場の対応方法などを話し合っていた。

そして保健所から連絡が入った。
老人ホームさとやまのケアに関わる職員は、看護職員8名、介護職員21名、リハビリ職員5名、歯科衛生士2名であるが…
この内、濃厚接触者として扱われるべき職員は、看護職員8名、介護職員10名、リハビリ職員1名、歯科衛生士2名…
C氏と接触した職員の接触の仕方についても細かく伝達していたので、その結果がこの人数だった。

ほぼ全滅ですやん!www

通常、濃厚接触者は2週間自宅待機ということになるのだが…
保健所にて検討して頂いた結果、「濃厚接触者として扱われるべき21名の職員さんのPCR検査を実施する!」ということでした。
濃厚接触者として扱えば、PCR検査を実施せずに2週間自宅待機となるので、当然ながら当施設は機能しなくなり、入居者さんへのサービスの質が担保できなくなる。
そこで臨機応変に対応して頂けることとなり、21名を濃厚接触者として扱わず、PCR検査を実施して頂く流れとなった。

 

<21時>
21名のPCR検査を実施しなければならず、時は既に21時である。
保健所に私が伺い、保健師さんから検査の注意点などをお聞きし、感染防止のための衛生用品などを提供頂いて施設に戻った。
保健所では、3名の職員さんが対応してくれた。
こんな時間まで色々と検討してもらい、様々な手配を行ってくれたことに感謝しかない。
たまたまその内の1名の方が、元職員さんであり、気安く会話させてもらえたのは本当に良かった。

主任・介護リーダーと手分けして21名の職員に電話連絡し、今からPCR検査を実施するために施設に来てもらうか?翌朝7時30分に施設に来てもらうか?選択してもらった。
7割の職員さんが夜分遅くにも関わらず施設に来てくれたので、PCR検査を実施した。
中には、差し入れを持って来てくれる職員さんも居て、とても有難かった。

私が一連の流れの説明や検査などを行っている間に、副課長と主任さんは現場に向かいフェイスシールドの配布・ガウンの配布・廃棄物処理のルール作成など、様々な感染対策を行ってくれていた。
当然ながら、遠方の職員さんが居たり、他の施設にて勤務中の職員も居たのだが…
介護サービスの主任さんが、検査キットを持ってわざわざ他施設にて勤務中の職員の元へ行ってくれたり、たくさんのサポートを行ってくれた。

検査を実施しつつ、検査対象者の個人情報のリストを作成したりしていると、あっという間に時が過ぎ、23時過ぎであった。
遅くまで残ってくれている職員さんの夜食!?というか夕食!?の買い出しも介護サービス主任さんが行ってってくれた。
おにぎりやパンやデザートを食している時は、ほんのささやかな安らぎの時間だったが幸せだった。
近くに座らず、何とも言えない微妙な距離感で会話しながら小腹を満たした。

ある程度、本日中に行わなければならない作業は目途が立ってきたので、不安がっているだろう職員さんに対し、再度メール送信した。

From: 有料老人ホームさとやま
Sent: Tuesday, September 29, 2020 11:55 PM
Subject: コロナウィルス抗原検査+対応について

さとやま職員さんへ

お疲れ様です。
夜分遅くにすみません。
不安がられている職員さんが多いので、現時点で取り組んできたことを報告致します。

1、八尾市へコロナウィルス抗原検査陽性者と接触した職員をリストアップし、どのような接触の仕方をしたのか報告し、データで提出しました。
2、八尾市へ9月1日より体調不良等が生じた職員と入居者の症状と持続期間などをリストアップし、口頭で報告し、データで提出しました。
3、八尾市へ施設の見取り図に抗原検査陽性者と職員の導線を記載し、提出しました。
4、有料老人ホーム入居者家族に状況報告し、全ての面会を完全に中止にする旨を連絡しました。

上記1~3を実施後、八尾市より有料老人ホームさとやまの21名の職員が濃厚接触者と同等の扱いとなる旨の連絡がありました。
濃厚接触者と断定された者は「自宅にて2週間の待機」という対応となり、検査等は実施されません。
しかし、今回の21名がそのような対応になると入居者のケアが提供できないと判断して頂き、PCR検査を実施してくれることとなりました。
臨機応変に対応した頂けたことは、とても有り難いことです。
尚、PCR検査実施者は兼松となります。

対象者21名には連絡済みであり、2/3名の方は夜分にも関わらず施設に来て頂き検査実施済みです。
残りの1/3の方は、明日早朝に検査を実施し、全ての検体を8時までに提出することとなっています。

濃厚接触者は、「発症の2日前から1メートル以内で15分以上接触した人」とされており、上述したように濃厚接触者は保健所の「健康観察の対象」ということで、自宅待機です。
しかし、今回の対象者21名は、感染対策を行い、通常勤務して下さい。
また、今回PCR検査対象となった方のご家族や友人などは、特に観察対象者とならず、通常の生活をして頂いて問題ありません。
検査結果については、明日30日の夕方から夜とのことです。

ご存知のように抗体検査の検査精度はそれほど高くないため、確定診断はPCR検査となります。
抗体検査プラスとなった入居者が偽陽性であることを祈りたいと思います。
また、明日検査結果についてはご連絡致します。

有料老人ホームの現場の対応については、ワイズマンの申し送りに記載致します。
どうぞよろしくお願い致します。

さとやま 兼松

 

<0時>
メールを送信後、残りの残務を行いつつ、副課長と主任、デイ主任を見送り、私はPCR検査陽性であった際に取らなければならない行動を整理することとした。


Twitterでツイートするぐらい、このタイミングで一息ついている。

人員配置、老人ホームとデイサービスや職員の区域分け、関連機関への連絡など、考えらえることを整理したりしていたら3時前だった。
もし、PCR検査陽性であったら泊まり込みとなるであろうから、初日から頑張り過ぎて倒れてはダメなので寝ることにした。
しかし、なかなか脳ミソがOFFになってくれなくて、いつも1分ぐらいで完全に爆睡するのだが…様々な思考が頭を巡り、寝付けないというか、眠たくなかった。

もしPCR検査陽性なら、職員さんはメンタルを壊さず踏ん張れるだろうか?
その家族さんは、どんな風に思うだろうか?
大変申し訳ないことだが「家に帰ると感染のリスクがあるので、泊まりたい!」という職員さんが出た際に、どのように場所を確保することが出来るだろうか?
入居者さんに会うことを楽しみにしているご家族は、どんな生活を送るのだろうか?
入居者さんはどう感じるだろうか?

そんなことばかり考えていたら、やるべきこと・やらなければならないことが無限にあるように感じた。

続く。

changingman 兼松大和

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