ツール・ド・美ヶ原高原自転車レース大会2017 レースレポ

ひょんなことから美ヶ原ヒルクライムに初参戦しました。

ひょんなこととは、Ignameの合宿で中畑監督に「美ヶ原はいいぞぉ~!!」って言われたので、監督に会いに行く理由も作れるので初エントリーしたというのは、レックマウントはいいぞぉ~!!の記事で記載しました。

富士ヒル以降、あまりにも自転車に乗れておらず、しっかり練習することをせず、喰いまくりの怠惰な生活を送っていました。

元来私は怠け者なのです。

 

富士ヒルは”絶対勝つ!優勝する!!”という意気込みで挑みましたが、美ヶ原は”旅行気分で楽しめればいいかなぁ~”ぐらいの気持ちでした。

モチベーションを保てていないのが大きな理由です。

(チャンピオンクラスに出場した選手の皆さん怒らないで下さい。これが真実です。)

 

富士ヒルの際にはCTLが80オーバーでしたが、美ヶ原はCTL69…

しかも、体重が富士ヒルよりかなり増加していたので、スーパー突貫工事的な感じで体重を落としたのもレース前日のブログに記載した通りです。

モアーパワー!!(笑)ってことで、美ヶ原へ向かう道中に喰いまくって楽しみ、夜の食べ放題飲み放題でも喰いまくりました!

飲んだのはビール三杯だけですので控え目です(”◇”)ゞ

 

 

そんなグルメ旅行気分の私ですが、たくさんの方から応援メールが届きます。

「美ヶ原で優勝して弾みをつけて下さい!」「勝って下さいね!」「二連勝で乗鞍へ向かいましょう!」とか、嬉しいのやら悲しいのやら…

私はピーキングの人なので、年中強いわけではないのです。

でも、周りの方はやっぱり期待しちゃうんだろうなぁ~(^^♪って解釈していました。

 

現地に着いてから、自転車を組んでいても、歩いていても、風呂に入っていても、食事をしていても、有名人になってしまったのか常に応援して頂けます。

最高に幸せで在りつつも、期待がやや重圧となりつつありました。

しっかり調整して挑んでいないのに…無様に負けるとイメージ悪いよね…とか、変に周りを気にしていました。

いつもはすぐに寝ることが出来るのに、なかなか眠れなくて、布団の中でブログを書いたりしていました。。。

 

そして、朝の4時に起床しました。

胃がグロイじゃないかっ!!!オーマイだぜっ!!

でも、食べておかないと力が出んだろうなぁ~とか思いながら、無理やり食事を摂りました。

ソーセージは残しました。中治が居たらアゲルのに…(笑)

美味しく食べれたのは、ブラックサンダーだけでした。

食べ終わってお腹が満腹…気持ち悪い…

 

外は、ジャジャ振りの雨…

「このまま雨を理由にDNSにしたら、無様なレースを披露してしまう可能性がなくなる!」とか、真剣に考えていました。

弱気の虫が出始めています。万全で挑んでいないと、こんなもんです。。。

 

会場まで自転車で3分ぐらいなので、ギリギリまで問題なくホテルに居ることが出来るので、ツイッターを覗いたりしてダラダラ過ごす。

そして宿谷さんとTwitterでコミュニケーションっ♡

この宿谷さんのYouTube紹介が、レース展開に大きな影響を与えることになりました。

本当にありがとうございましたっ!!

 

布団の中で、YouTubeを見てコースを確認。

コース情報だけを見ると「全長21.6km、標高差1,270m、平均勾配5.9%」と比較的緩やかに感じるが…

序盤の4kmの激坂(勾配15%越えなどもある)だけではなく、その後も結構な勾配が続いているではないか…

5km~17.5kmぐらいまで、つづら折りで7%~8%の勾配…

そして、時速50kmオーバーの平坦と下りで、コーナーもチョイチョイあるし、しかもスーパーガスッてると視界は最悪…

ゴール前1kmぐらいから勾配がきつくなり、ゴール…

 

「軽量クライマーにデブの私がこのコースで戦えるのか??」と動画を見て、さらに不安になる。

2回動画を見ました。

そして、5時から温泉へ行き、身体を温める。

雨が段々と止み始めて、天気予報を見ると小雨程度で済みそうな気配だった。

風呂に入りながら作戦を練る。

 

注意すべき選手は「パパクライマー、シュンスケ、森田君」の軽量クライマー達。

そして、同じ体格の「きゅうり王子」とWALKRIDE所属で連勝でE1に昇格している「高橋君」。

能力が謎な「宿谷さん」。

上記6名を出走者リストを見てチェックしていました。

乾さんとミヤケンさんも出走するのであれば、要チェックだが、DNSっぽい話を小耳にはさんでいたので、あまり気に留めていなかった。

 

そして作戦…

この面子に対して、今の私が戦えるのか…

せめて体重が富士ヒルの時の59kg台なら…

ネガティブな要素しか浮かばず、好材料がない…(笑)

 

よしっ!!!今年から激坂区間賞が出来たので、それを取りに行こう!!

そんな気持ちが強くなりました。

わずか4kmであれば、パワーで押しきれるはず!!

レースの勝利を目指す選手達は、激坂でアホほど負荷を上げることをしてこないだろうから、激坂で飛び出して賞をゲットして、見事に散ろう!!

そう心に決めて、温泉を出てアップに向かいます。

ちなみに…体重は、軽量化を一回行い61kgでした。(いつもなら二回の軽量化に成功するのだが、この日は失敗…)

 

激坂でもがくために、いつものような軽いアップではなく、しっかり負荷を掛けました。

三本ローラーでウィンドブレーカーを着てわざと汗だくになって、途中で30秒モガキなどを7回ほど入れて、30分間乗りました。

若干疲れたが、心拍も上がったし、4km頑張れば良いのだからOKだっ!!と自分を納得させました。

 

そして、下山用荷物を6時30分に預けに行き、ホテルに戻って再度温泉に入る。

身体をポカポカにしておきたかった。

入浴後、Ignameのアップオイルを念入りに塗った後に、レインジェルを塗り込む。

準備万端だっ!!

 

荷物を片付けて車に積んだ後に、開場へ7時15分頃に到着。

あまり注目を浴びたくないので、並ばずに沿道の端に自転車を置き、ひっそりと身を隠すように時間が過ぎるのを待つ。

しかし、やはり数人の方に見つかってしまい、写真撮影や握手・会話などを行い、身元がバレるっ!!(笑)

宿谷さんに「まるで次のカテゴリーの選手が、応援しているような感じですね!並んで下さいよっ!」と言われました( ;∀;)

改めて富士ヒルの効果の凄さと、森本さんは普段からこのような状況に置かれていたのだと思うと、凄いと思った。

 

サンボルトの社長さんとも会話して、レースの開始時刻がやってきました。

 

すると…

 

レースを盛り上げるために、松本ヒルクライム(美ヶ原ヒルクライムと乗鞍ヒルクライムの2レース)の昨年の上位陣を最前列に案内するという選手紹介が始まった。

パパクラさんなどが呼ばれ、強豪達が前に並んでいく。

すると私もコールされることにっ!!

しかも、案内が私だけ長くて、開場がざわつきました(T_T)

 

「6月に開催された富士ヒルクライムで、山神である森本さんを1秒押さえて、チャンピオンになられた兼松大和選手で~す!!」みたいな案内やったと思います( ゚Д゚)

ひっそりしていたのに、完全に存在を晒されたっ!!!(笑)

手を挙げて前に並びに行く。暖かい拍手を頂戴致しましたぁ~!!!!( ;∀;)

 

ここでスイッチが切り替わりました。

完全に戦闘モードに突入!

これだけインフォメーションされて、無様に負けられん!!

山岳賞を取り、且つ確実に着に絡む!そして、チャンスがあれば優勝っ!!

スタート2分前に、初めて優勝するという言葉が脳裏に浮かびました。

 

山岳賞を絶対に取る!という意気込みから、様子を見て山岳賞獲得が無謀そうであればリザルトに重きを置いた走りに切り替えることにした。

(スタート前にミヤザキ師匠が一枚写真を撮って頂いていました。)

 

そしてレーススタート!!

温泉街を抜けて激坂区間に入るまでに、周りのメンバーを見ておく。

有力どころは、前々に展開しようとしていたので、右から森田君の加速に合わせて上がって行く。

先頭ではIgnameのイツキが飛ばしている。すぐに死んでたけど…(あの負荷で上り続けることが出来たら、プジョルにも勝てるぜっ!!って負荷で飛ばしていた。)

 

1kmぐらいしたら、想定していたメンバーが周りに位置取っている。

やはりこのメンバーが勝負に絡んでくるんだなぁ~とか考えていた。

激坂ではあるも、レース開始直後で元気なので、このレベルになると誰でもある程度の負荷であれば着いて行ける。

すると、赤いジャージのおじさんが飛び出した!(後で知ったが赤いタイムおじさん加藤君だった。)

明らかに逃げる感じだっ!!

 

それでも山岳賞の通過ラインまでの3kmは持たんだろうなぁ~とか考えるも、追いつけるように私が先頭に出てペースアップする。

そこそこ良いペースで走っているのに、なかなか追いつかない。

これはこのまま意地でも逃げ切ろうとしているということが分かったので、無理をせずに負荷を落として、山岳賞はレーススタート3km地点で諦めました。

狙うなら、最初から先頭で激坂区間に入らないと行けなかったなぁ~とちょっと後悔したけど、後の祭りだ。

意外にこの激坂区間は他の選手と比べても、見劣りするような辛さではない感じだったので、少し安心したのを覚えている。

結構、他の選手もきつそうに見えた。

 

そして、山岳賞通過ラインを越えて、太鼓を叩いてくれている子ども達に手を振って、平坦区間約1kmは私が先頭で引く。

ここからが勝負となるであろう12kmぐらい続く7%前後の勾配の坂…

やはりここになって、パパクラさん・シュンスケ・森田君が前を引き始める。

高橋君はかなり身体がデカイので、この体格で上れるのだから、最後まで連れて行ってはダメな人代表だ!

ギアを見ると、アウターでガシガシダンシングで上っている!

 

ゴリゴリゴリラ…

 

ゴリラおじさんだっ!!と思った。(笑)

私は34-28でクルクルと、出来るだけ脚に優しくケイデンスを高くして走る。

 

森田君が飛び出したりするが、すぐに引っ込んで千切れていく…

そして、また復活して先頭をグイグイ走って千切れて…と数回繰り返しており、なんちゅう走り方やっ!!と驚いていたら、知らぬ間に死んでいた。

勝手に爆死おじさんは、上げ下げしまくりおじさんとして、命を落としました。(笑)

 

板子きゅうり王子は、相変わらずギアの調整がうんこレベルでガリガリ言っている。

富士ヒルで、やらかしていたのにまだ調整していないようで、野生の男だと思った。

男気があるっ!!(笑)

そして、そのままうんことなり、山に帰りました。(笑)

 

先頭で逃げている知らないおじさん!

タイム大好き赤いおじさん加藤君は、全く姿が見えないぐらい先行していた。

でも、私に追う余裕など微塵もない…

もう着いて行くだけで必死でそれどころではない。

逃げがどうこう考える余裕はゼロでした。

 

10kmぐらいから、強烈にきつくなる。

パパクラさん、シュンスケ、高橋君が私の様子をチラチラ見る…

めちゃくちゃきつくて、鼻水垂れ流して、よだれも垂れ流し状態…(レース後に、兼松さんの鼻水が凄すぎた!と笑われた( 一一))

 

ちょっとペースが上がると、千切れる…

最大7mぐらい千切れたと思う。

でも、何とか一瞬現れる平坦や下りで、もがきのダンシングで加速して追いつく。

辛すぎる…今にも終わりそうだ…

 

でも、諦めない!!

富士ヒルチャンプ!と呼ばれ、誰もが連勝を期待している中で、このまま千切れたら5着だ…

「あり得ない!最低3位だ!」と思ったが、すぐに思考を変えて「アホか!!優勝しかないやろっ!!諦めんなボケ!!」とガラが悪いが、自分の思考に自分で切れる!(笑)

 

あまりにもきつくて、嘔気がして消化していないミートパスタが少々出た…(+_+)

オーマイっ!!!!(インタープロのオーマイナカータが、フランスでのレースで強度がきつくてレース中に吐いたと聞いていたが、まさしくそんな感じで…美ヶ原の大自然に栄養を与えてやったぜ!!)

胃液で喉が痛い!水分が欲しい!!

飲み物がないので、ジェルを飲む。

こんなにきついのにジェルなんて飲めるかっ!!とジェルも吐く。。。

でも、口の中が甘くなり、酸味が和らいで痛みが少しマシになった。

 

とにかくきつい…辛い…何時でも千切れる準備は万端って感じ。

 

永遠に感じるクネクネした道と両サイドの木々達。。。

 

勾配がきついので、あまりドラフティングの効果は期待できない。

前の3人は勾配の緩いラインを走っているので、チャンスだと思い、常に最短コースで走る。

その分勾配がきついが、それでもコーナーの度に距離を縮めることが出来ていたので、助かる。

 

追いついては、千切れる…というのを、2回ほど繰り返した。

少し勾配が緩くなり、回復に努める。

 

すると、パパクラさんが切れる!!

「こんなんじゃ追いつかねぇ~よぉ~!!!!!!」

ダンシングでグイグイ加速する。(後で聞いたら、そんなガンガン踏んでいるつもりはなかったらしい。)

今の私では、絶対に着いて行けないスピードだ…

瀕死のおじさんに対して、完全にとどめを刺す感じ…

 

すると…シュンスケも高橋君も着いて行かない。

 

少し不思議だった。

この二人も辛いのか?このタイミングで逃がすメリットはあるのか?

もしかして、俺をマークしているのか?

チラチラ様子を見られていたので、かなり弱っていることは明らかなはず…顔から汁という汁が垂れ流されている…

もしかしたら、芝居をうっていると思っているのか?こんなに醜い顔になってまで芝居だと思うのか??

これがチャンプの肩書!?(笑)

 

なぜパパクラさんを逃がす!?

シュンスケは、かなり力強い走りをしており、強さを誇示していたので、意外過ぎるおじさんだった。

高橋君は謎だ。前には出ないけど、周りの様子をダンシングしながら見ていたし、それほどきつそうにも見えなかった。

 

2人のことは理解できなかったけど、ここが踏ん張りどころだと思った。

「優勝する!」と思考を切り替えたのだから、優勝するなら、このパパクラさんをそのまま逃がすと絶対に捕まえられない。

頭の中には、逃げているタイムおじさんのことは微塵もなかった。

というか忘れていた。

それぐらい思考ができない辛さであり、酸欠状態だった。

 

大した加速は出来ないが、オールアウトしても良いと思い気合いで踏む。

もう根性とか精神論でモノを語る世界だっ!

おりゃ~!!って気持ちで、踏む。

でも、大して加速できない。

 

前には、逃げおじさんが見えて、逃げおじさんを捕まえる、キレて飛んで行ったおじさんが見える。

 

すると、シュンスケが遅れ始めた。

意外だ…さっきまでの力強さは何だったのか?( ゚Д゚)?

(そういえば、一緒に練習している時も、いきなり消えていく傾向があったな~とレース後に思い返していたけど、この時はそんなことは考える余裕がない。)

 

勾配も緩み始めているので、高橋君にローテを促す。

すると、あまりペースを上げれないようだ。

これも意外だ…

 

何なのだ!?この二人は??

 

もうそんなこと関係なくなって、ぶっ倒れそうになりながら、全身を使ってペダルに力を込める。

もう見せれるようなもんじゃないぐらいの状態だったと思う。(レースを撮影している車やカメラマンが居ないことが何よりの救いだった…(笑))

 

タイムおじさんは、完全に死んでおり、後ろから引っ張られているかのような遅さだった。

後ろ髪引かれおじさんを軽くパス!

 

パパクラさんと少し距離が縮まっている気がした。

チャンスはまだある!

平坦下りでは、絶対に私に分がある。

3.5kmもある上り下りの高速区間。

回復もさせられるだろうし、同じ負荷で踏んでも、体重がある私に分がある!

この区間のためにライトウェイトではなく、外周がやや重いがグリップもブレーキも効くのむラボ5号を選択しているのだ!

 

諦めずに、踏む!ひたすら前を見て踏む!!

この時、高橋君がどんな感じか判断することは出来ていない。

 

最後の上りっぽい雰囲気の頂上が見える。

ここからは平坦区間だ!

ここで少しでも追いつきたいので、最後の力を振り絞って、加速する。

 

上り切った瞬間に後ろを見ると、高橋君が離れている。

これはチャンスだ!

連れて行きたくない人を、運よくたまたま引き離せた。

前に居るのは、パパクラさん一人で、視界に入っている。

 

下りに入って、思いっきり踏む!!

スーパーエアロ姿勢で踏む!

視界は、ガスっていて最悪…

でも気にしない!ほとんど見えないけど、うっすら見えているパパクラさんの動きを見て、見えないコーナーをイメージして突っ込む!

 

少し下った左カーブで、曲がり切れずに後輪を滑らせて危うく転倒しそうになるが、奇跡的にリカバリーした。

クレイジーだっ!!ブレーキが効かん!!

でも、勝ちたい!勝たなければならない!!

 

あまりにも危なかったので、少し冷静になり宿谷さんのこのツイートを想い出した。

 

当て効きだっ!!

コーナー前でブレーキ面をリムに軽く触れさせて水を飛ばしてから減速する。

そして、セオリー通りの曲がり方をする。

でも、パパクラさんと距離が開く…

少し見えなくなる…

 

試走していない弱みが出た…

最低限のブレーキングに切り替えて、突っ込む覚悟で走る。

 

長いストレートというか緩やかなカーブ程度で、比較的見通しが良い区間に入った。

パパクラさんと30m~40mぐらい開いている。

朝にYouTubeで見た景色だ!!

ここしかチャンスはないと思い、下ハン持ってスプリントする感じで思いっきり加速して、トップスピードに乗ったら顎をステムにつけて腕をしまって身体を最大限小さくして下る。

ここで一気に15mぐらいまで追いついた。

 

この距離なら、なんとかパパクラさんの姿が見える。

その後の、右カーブでミスる。

オーバースピードで曲がり切れなくて、大きく減速し、ガードレールに突っ込みそうになる。

思わずクリートを外して、転倒を防ぐ。

警備員の人が驚きながら、私がガードレールからダイブしないように両手でストップしてくれた。

すぐに、クリートをはめて、再ダッシュ!!

ビビらせてしまいすみませんでした。(私が一番ビビりましたけど…)

サンキュースタッフさんっ☆

 

また、パパクラさんとの距離が開く…

最後の勾配が上がる1kmまでに、パパクラさんを手の届く範囲に収めておかないと勝てない…

 

ガンガン踏んで、高速区間をひた走る!

パパクラさんが、また見えたので少し冷静になる。

 

これだけコースを知らない私が、クレイジーだとは言えども追いつけるということは、私にかなり分があるのでは?(パワー差がある)

1kmもあれば、ロングスプリントで後方から仕掛けても勝てるのでは?

ギリギリまで近づかずに、パパクラさんの走る姿を視界に収めて、パパクラさんのコーナリングをトレースして、同じ速度で走って、上り始めてから仕掛けても勝てるのでは?

 

そう思い、ガンガン踏むのを止めて、等間隔で走ることに切り替えた。

気になるのは高橋君。

後ろを振り返るも、ガスっていて全く見えない。

しかし、音すら聞こえないので、きっとかなり差が開いているはず。

 

メーターを確認すると、スタートから20kmが過ぎていた。

そろそろ勝負どころだ!残り1.6km!!

少しずつ冷静に距離を詰めていく。

 

すると、沿道のおじさんが「残り1km!!!」と叫んでくれた。

パパクラさんは、仕掛ける気配はない。

完全に私の勝負できる距離にパパクラさんを捕らえた。

射程距離にターゲットが入ったので、後はしっかりと標的に照準を定めて打つだけだっ!!

パパクラさんが私に気づいていたのか、気づいていないのか分からなかったが、ギアを変速した際の音で気づかれたと思った。

 

勝負は一気に、そして確実に決めなければならない。

この最後のアタックが失敗したら負けだ!!

そう覚悟を決めて、グリップに力を込める。

 

後ろに入られたくないので、パパクラさんが真ん中付近を走っていたので、私は一番右端に寄って、フルスプリントを開始!!

とにかく、フルでもがく!

おそらく30秒ぐらいもがいた後に「残り30秒だっ!一気に突き放す!!」と気持ちを込めて、再度もがく!!!

「1分だっ!1分全力だっ!!」と念じながら、ひたすらダンシングする。

 

そして、限界に近くなり、パパクラさんとの距離を確認するために振り返ると、かなり距離が開いていた。

ガスが酷くて、わずかにパパクラさんの姿が見えるか見えないかぐらい距離が開いていた。

 

パパクラさんを確認するために振り返ったと同時に「残り500m!!」とのスタッフさんの声が聞こえた。

勝った!!と思った。

 

シッティングに切り替えて、後ろの距離を確認しながら、残りの距離を消化する。

うなだれるように姿勢が崩れているパパクラさんがわずかに見えるだけで、高橋君の姿は見えない。

 

歓声が聞こえる。

ゴールがうっすら見えてきた。

視界が悪くかなり下げていたサングラス(クリアレンズ)を整え、鼻水やよだれや吐物を拭き取り、ウエアのジッパーを上げました。(せっかくのゴールシーンが、ぐちゃぐちゃの顔だと切ないからね…(笑))

そして、軽く流しながら呼吸を整え、右手を挙げてトップでゴールラインを切りました。

 

喜びよりも「ホッとした!」というのが最初に感じた気持ちでした。

正直、勝てると思っていませんでした。

明らかにモチベーションが低く、準備も怠っていました。

しかし、奇跡的に勝つことが出来ました。

 

レース中に嘔吐したのは初めてです…

レース後に足がバキバキになりました。

2回も千切れて、奇跡的に追いついて…

一度は後輪を滑らせ、一度はクリートを外して転倒を防ぎ…

あのガスっている真っ白な世界で、クレイジーな突っ込みをして…

無茶苦茶なレースでしたが、勝てました。

 

勝因はなんですか?と聞かれましたが、「諦めなかったこと」という他に言葉が見つかりません。

喰いまくっても勝てません!(笑)

 

富士ヒルより、はるかにきつく、心が折れそうに何度もなりました。

しかし、心が折れなかったのは、スタートセレモニーで過分な紹介をして頂いたことにより、無様な走りが出来ないと思ったからです。

前日にたくさんのメッセージを頂き、重圧を感じていましたが、結果的には背中を押してもらえた形となりました。

 

本当に富士ヒルチャンプの名を汚さずに済んで良かったです。

嘔吐して、鼻水垂らして、よだれを垂らして、滑ってコースアウト仕掛けても、得た結果は優勝です!

そして、二連勝です。

頭の回線が飛んでいましたが、そうでなければ勝てませんでした。

もう二度と同じ走りは出来ませんし、したくないです( `ー´)ノ(笑)

 

レース後に3回ぐらいインタビューを受けましたが「前評判通りの優勝おめでとうございます。」って言われました。

前評判間違っとる!!!そんなに調整してなかったから、相当苦しみました。

結果的には、2位以下に10秒以上差をつけて勝ちましたが、私からしたらギリギリの伸るか反るかの世界でした。

 

左から、3位最後なぜにもっと踏まなかったおじさん、1位嘔吐おじさん、2位アウターゴリゴリおじさん、4位いきなり千切れおじさん、11位ギア調整できないきゅうりおじさん。

 

この写真の時のパパクラさんは少し元気になっていましたが、レース後は声を掛けれないぐらい憔悴しきっていました。

トップチューブに座り、ハンドルに両肘をついてうなだれていました。

このレースに照準を当てて、このレースを勝つために取り組んで来たそうです。

私に抜かれた後に、あぁ~終わった…と思い、呆然としている間に高橋君に抜かれたようです。

 

私は「~のレースで兼松さんが1着で、私は3着だったんですよ!」とか「5着だったんです。」といった類の話をされることがあります。

その後にチームメイトのジュンに「俺…全然知らんかったわ…」と言った際に、「勝った人からしたら気にならんでしょうけど、負けた人達は、自分に勝った人達のことをしっかり覚えてますよ。」と言われたことがあり、その言葉が痛烈に胸に刺さったことを覚えています。

確かに…

私も10年掛けてやっとチャンピオンクラスで勝てるレベルの選手になれましたが、それまでに負け続けて来た過去があります。

その時は、確かに自分より上位の選手のことがとても印象に残っていました。

だらか、レースで勝った際には、一緒に走った選手達の顔をしっかり見て、次もしっかりと熱い走りが出来るように心に留めるようにしています。

 

私がこの大会前の話や、ドカ食いしたことなどを話していると「僕の4ヶ月を返して下さい。」と、パパクラさんにぼそりと言われました。

在りのままの自分をこのブログでは表現しており、普段からツイッターなどで色々なことを呟いていますが、少し億劫になりました。

でも、競うということは相手より勝っていることを証明するためのものですから、競技をする以上、勝者と敗者があるのです。

 

私も全力を注いで挑んだレースで大敗したり、レースに出れなかったことがあります。

パパクラさんの気持ちは、ある程度は分かる気がします。

「そんなじゃ追いつかねぇ~よぉ~!!」と言って駆け抜けた姿は印象的でした。

勝ちにこだわらなければあそこで加速はできんでしょう。

シュンスケも高橋君も、あの追走は凄かった!とレース後に語っていました。

男前でした。

 

でも、私もレース中は絶対に諦めない強い心で走り、なりふり構わず情熱全開でパパクラさんを追ったのです。

パパクラさんをはじめ、一緒に走ってくれたトップ争いをした選手達すべてに感謝です。

 

どんな取り組みであれ、どんな思いで在れ、大会のルールを守って先着した者が勝者です。

私にとって森本さんや矢部さんが強烈な存在であるのと同じように、私も他の選手からそんな存在になれるように強くなりたいと思います。

実際に、そう思って今も努力しています。

 

乗鞍では、過去最高の兼松大和で全身全霊を注いで走ります。

高見を目指して、一緒に走りましょう!!

 

反省が多い美ヶ原ヒルクライムですが…

主となる反省を書き記しておきます。

・暴飲暴食は当然ダメ!胃もたれして消化吸収されなくて、リバースしてしまうかもっ!(笑)

・本気で勝ちたいなら試走は必須!勝負どころが判断できないと勝てるレースも勝てない。

・勾配がきついと体重の増加はもろに影響するので、痩せている方が良い。

以上!!!!(笑)

 

 

ここからは表彰式と、その後の話。

 

下山後、宿谷さん・シュンスケ・高橋君と一緒に温泉へ。

レースの話や、機材の話、他の選手の話などをしながら、温泉で疲れを癒しました☆

宿谷さんの下半身がイカツクて、静脈浮き浮きうわつきおじさんでした。

うわつきおじさんのお蔭様で、レースに勝てたと思います。

浮き浮きおじさんが、早朝にコースの動画を、しかも!!!5倍速の動画を送ってくれなければ、あの展開に持ち込めることがなかったでしょう。

2回見て、少しはコースが頭に入ったので、仕掛けどころが分かりました☆

ありがとうございました。

 

高橋君は、今後に期待ですなっ!!

何故あの最後の上りに着いて来なかった?との質問に「下りでは自分に分があると思っていたが、ガスっていたし、追いつけなかった。」とのこと。

勝負の分かれ目は、ほんの些細な判断で決まるのだと改めて思った。

WALKRIDEには、素晴らしい逸材が居てますねっ!

小室さん達プロツアーの先輩達に色々と教えてもらうと良いぞおうぅ~!!

 

シュンスケは、色々とアドバイスしたから書くのめんどくさいのでOK!

キャラとして、いきなり千切れおじさんでええんじゃないかな!?(笑)

 

そして、表彰式☆(エロい秘密おじさんこと、走れるライターハシケンさんから提供して頂いたっ☆)

サンボルトのライトワンピは、本当にピタッ!!とフィットして気持ちが良いです☆

 

こちらはサンボルトの社長さんから頂きました。

なかなか良い賞状の受け取り方でございまする。

 

笑みがこぼれました!!やはり嬉しいです。

 

エエ写真です。さすがエロイ秘密おじさん!

エロイと撮り方が違うっ!!(笑)

 

チャンピオンジャージに袖を通してもらう☆

 

サンボルト製ジャージをゲットだぜ~。

 

そして、入賞者と全体写真。

一番右のこっそり痴漢長谷川おじさんは、左肘でエロイことをしたとの疑いが…お巡りさぁ~ん!!!(笑)

 

そんなこんなのツールド美ヶ原高原自転車レース2017でしたっ!

 

帰りの車のことは、また後日っ☆

長文お付き合いありがとうございました!!

 

 

Changingman  兼松大和

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