モトハルのコーチ ~乗鞍へ向けて〜前編~

7月の初旬だっただろうか??
モトハルと会話している時に、ひょんなことから私がコーチをすることになった。

と言っていたが、3部構成は止めです!www
2部構成の予定です。

さて、なぜコーチをすることになったのか???
それは、私自身が乗鞍に対してチャンピオンクラスで優勝を狙うようなモチベーションが無かったことが理由の一つであることは間違いない。
昨年の乗鞍で、何度も言っているが、燃え尽きたんです。
結果は奮わなくて、悔しくて泣きましたが、それでも取り組んで来た過程を鑑みれば、得たものは大きく、有意義であり、後悔はしていません。

その時のブログも、良ければご覧下さい。


夏草や兵どもが夢の跡 ~乗鞍レースレポ~

ということで、初めて参加した乗鞍以降、初めてレースを走りに行くのではなく、サイクリングに行くというモチベーションだった。

そして…

「優勝する!」と口では表現しているモトハルを見て「そんなレベルで優勝なんて出来るわけがない!」と思ったことも、モトハルのコーチを行った理由の一つだ。
モトハルは、ステムに「自分を信じろ!」「勝つんだろ!?」という言葉を貼っていた。(記憶が曖昧だが、そんな感じの言葉!)
しかし、意気込みだけで勝てるほど、乗鞍の優勝は甘くはない。

何度も乗鞍優勝を夢見て、挑戦して来た私が言うのだから間違いない!
私は、乗鞍チャンピオンクラスで2位・3位・4位・6位・7位と表彰台に立っているが、1位だけはない!
5位もないけど!www
順序で言うと、7位→6位→2位→3位→4位→パンクということになる。
めちゃくちゃ本気で取り組んで来たけど、1秒以内の差で勝てないことだってあったのだ。

勝つのは、そんなに簡単なことではないのです。

モトハルの身体能力が高いことは、昨年の乗鞍以降の秋頃に感じていた。
男性達と一緒にロング練に出かけている時に、後半まで垂れない脚が作れており、峠のタイムも女性のストラバQOMをゲットしたりしていた。
しかし、感情というかモチベーションにムラがあり、一貫したトレーニングを実施できていないようであった。
また、勝つためのトレーニングを行っているようには見えず、乗れば速くなるという感じだったし、計画されたトレーニングには見えなかった。

ヤマカツ練に参加しているモトハルだが、ヤマカツ練はハードな短時間高強度練習が多い。
ヴィクトワール広島の中川キャップやIgnameのトヨカツといったJプロツアーで走っている男性が行っているメニューを行うのだが、当然ながらすぐに千切れてしまうので、練習としては結局ソロで行っているのと同じだった。
そこで、本当に勝ちたいのならコーチをしてやろうか!?と話を持ち掛けたのは、私の方だった。

モトハルのデータを全てパイオニアにアップロードさせた。
モトハルは二台のバイクを使用しており、軽量のリムブレーキのアンカーとディスクブレーキのキャニオンなのだが、片方のバイクにしかパワーメーターをつけておらず、正確なデータを得ることが出来なかったのだ…
そこで、パワーデータのない走行日には、同じように走った日のデータを教えてもらい、ゴールデンチーターに近似値としてアップロードして、正確ではないが、おおよそのPMCを完成させた。

2年間のデータを見て、まず思ったことは…
「ベースが下がり過ぎている…」だった。


青:CTL 赤:ATL 黄色:TSB

乗鞍本番まで、2ヶ月ないのだ!
今からベースを上げてから、ピークを作るには時間がなさ過ぎる…

グラフのデータは、以下の感じ。
2018.10.28 CTL95.7 ATL149.1 TSB-54.1
2019.7.11   CTL61.1 ATL 47.7  TSB18
2019.8.22   CTL81.1 ATL 81.4    TSB-2.3

どこのデータを基準に「ベースが下がっている」と言っているのかというと…
昨年の秋にヤマカツメンバーでロングを走ってた頃は、男性陣に引けを取らず、150㎞のロング練の後半の上りで男性達を千切っていたのだ!
「あの頃のモトハルは強かった!」と中川キャップがたびたび口にしていたのだが、その時のデータを見て表現している。
正に、キャップが言っていたように、パフォーマンスとデータがおおよそ一致していた。

コーチを行うことになった時点では、フィットネスが下がっている状態なので、ハードな練習を行っても回復に時間を要すだろうし、土台が低ければピラミッドの頂きも高く作れない…

どうしようか悩んだ。

CTL(フィットネスと捉える)が高いと、持久力がある傾向だし、練習の後の回復が早いと思っている。
ロールプレイングゲームでいう、HPみたいなもんだと思っておいても大間違いではないと思う。

コーチを担当するにあたって「今より強くなる!」ということには変わりないのだが…
「走れている時の過去の自分より、今の方が遥かに優れている!」と思えるかどうかは、かなり重要だと思っている。
だから、どうしてもモトハルに「過去最高だ!」と思わせたいので、過去のピークを基準に今の現状を比較した。

精神は肉体を凌駕する!!!

モトハルのデータを見ながら、ライバルの特徴を考えた。
昨年チャンピオンの牧瀬翼選手!
ヒルクライム女王の金子浩美選手!

うぅ〜ん…
とても悩みました。

ふと!前年チャンプの牧瀬翼選手(以下、翼ちゃん)のデータがお披露目されていたのを思い出した。
中田コーチが翼ちゃんのことをブログに記載していたので、しっかりと読んで勝てる可能性を模索した。

海外のレースを走ったり、全日本で上位ゴールする選手なので、ベースが違い過ぎる。
圧倒的に強者だ!

しかし、乗鞍1時間5分〜10分間の戦いであれば、付け入る隙があるかも知れない。
まずは、モトハルのデータを見直して、どの時間帯の能力が高く、どの時間帯の能力が低いのかをじっくり分析した。
そして、いつの時期にそのピーク値を出しているのか?を把握した。

本当はここでデータをお披露目したいのだが、モトハルの許可がおりませんでした。
勝手に載せてやろうかと思ったけど、止めておきました☆

そして、データを見ながら色々考えました。

しかし、やはりデータは所詮データなので、実際にモトハルと走ることによってモトハルの強みと弱みを見つけることが先決だと思い、まずは一緒に並走して、走り方や指示した強度を維持出来るのか把握することにした。
本当にそのデータがピーク値なのかも分からないし、追い込みをかけたら、もっと高いパフォーマンスを発揮するかもしれないからね。

私は乗鞍に本気で挑む気は全くないのだが、ロードレースには夏以降も出る予定なので、自分自身のトレーニングも行いたい。

今年の私の練習テーマは、インターバル練なので、火曜金曜のヤマカツ練で自分自身の練習を行い、月水金にモトハルと走ることにした。
そして、モトハルの休みの日を把握して、休みの日だから出来るメニューと、月水金の朝練で出来るメニューを分けて考えた。

一緒に走って直ぐに気付いたことがある。
一緒に走ってもモトハルが、本当に追い込めているのかが分からない。
調子の良し悪しも分からない…
後でデータを見ないと分からないのだ…

一緒に走るメリットがどれほどあるのか?
本当に良いトレーニングが出来ているのか?
後でデータを見返しても、その時々で調整しなければならないのに、出来ない…
臨機応変にメニューを変え、モトハルの日々の状態を把握しながらトレーニングを積んでピークを作るには、パイオニアのサイコンしか思い浮かばなかった。

すぐにモトハルに、サイコンの購入を勧めた。

CA600を購入することで、モトハルのデータを見ながら走れるので、モトハルに最適なトレーニングが提供出来る可能性が上がることを伝えた。

すると、その日の夕方に「ポチっとしときました!」と連絡が入った(^^)!
早いっ!!!www

ということで、モトハルのデータを私のサイコンに飛ばして、モトハルのデータを見ながら走りました。
「上りでの私の何ワットが、モトハルの何ワット」というのが分かり、私も新鮮でした。

モトハルは、心拍計を着けていなかったので、必ず着けるようにも伝えました。

練習を共にすることによって、モトハルの身体能力を把握できるようになりました!
この負荷なら、これぐらいの心拍数…
調子が良ければ、これぐらいの心拍数…
ケイデンスとパワーと心拍数のデータを中心に見ていました。

・私のWは左上、後はモトハルのデータを表示です。
このレックマウントのベルが大活躍!
メニューの追い込み時には、必ず鳴らして、鼓舞します!

また、モトハルの後ろについて、指示を出したり、走り方を見たりしていると、走り方の特徴というか、傾向も分かってきました。
勾配の変化に対するペダリングの傾向や、ダンシングのタイミングなどなど…

様々なことを把握することが出来ました。

そんなこんなで、月水金は一緒に走り、休みの日は(一緒に重ならない)休みだからできるメニューを伝え1人で走るようにしてもらいました。

約2ヶ月間、誰よりもモトハルとコミュニケーションを取っていたと思います!(知らんけど!)
練習後にはデータを見返して、コンディションを把握する。
実際に走っている感じとデータとの関連性というか相関がどうなのかを見ていました。

モトハルが頑張っていることを聞きつけたヤマカツのメンバーも、月水金に顔を出してくれ、モトハルのメニューを並走したり、追わせたりして協力してくれました。
仲間に感謝ですね☆

ここからは、モトハルと私のLINEのやりとりを使ってブログを記載します。

・休日の確認と、サイコンを購入するように促した内容(^^♪

 

 

 

・アイテムもそろったので、本格的にデータを見ながらの練習を開始します。

 

 

・休日のメニューを送る。
そして、きっちりとメニューの目的や効果を伝える。
理解して取る行動と、言われるがまま行う行動では意味が違う!

 

 

 

 

・気合いで何とかならんものだということを、理解させるのに時間がかかった(-_-)/~~~ピシー!ピシー!
そして、不足しているデータを確認し、仮想の近似値データを入力して、それなりのPMCを作成する。

 

 

 

・疲労の状態を確認すると、上手くアウトプット出来ないモトハル!
疲れてても気合いで走ったりするが、一緒にデータを見ながら走ると直ぐに調子が理解できる。
上手く自分の身体の状況を理解できるように促し、しっかりと目的の練習ができるようにアドバイスを度々行った。

 

 

 

 

・PMCと各月のMAXパワー(20秒、1分、3分、5分、10分、20分、30分などの各月のMAXパワー)のデータを送り、自分で考察させる。

 

・そして、そのデータの解釈を私が説明を行う。(合っているかは知らん!信じる者は救われるんじゃい!!)

 

 

・たびたび考えさせる。

 

 

・ちょっと上から目線ですが…
「人としての成長を促したい!」そういう想いでおじさんは、若人に接しています☆(一番うざいおっさんやね!www)
職場の後輩であり、部下でもある。

 

 

・周りの支えがあること、感謝の気持ちを忘れないこと、そういう感覚はとても大切だと思うおじさんです!www
チャリダーの撮影依頼があり、モトハルに無駄にストレスを与えたくなかったので、窓口は全て私が行った。
モトハルのコーチであり、マネージャーやねっ(^^♪

 

 

・モトハルは、可愛い女の子です!

 

 

・初めて、私の機材を使うことを伝えた。機材音痴のモトハルΣ(・ω・ノ)ノ!
普段のレースでモトハルが使用しているのは、私のお古のデュラエースですが、決戦用のライトウェイトを使用させることに。

 

・日々コミュニケーションを取り、モトハルの状態を確認する。
モトハルも、徐々に私のメニューの意図を理解し、乗らなければならない脅迫観念から解き放たれていった。

 

 

・素直に休むことを受け入れることが出来るようになったモトハル!
これは大きな成長だ!
ONとOFFを使い分けて、その意味を理解し、休まなければ強くなれないことを理解しだした。
これぞコーチの役割だ。
データだけを見ても分からないのだが、一緒に走るとその時の状態が手に取るように分かるのだ。

 

 

・定期的にデータを送り、自分の状態を把握させる。
各月のMAXパワーを8月に入ってから、少しずつ更新させ、自信をつけさせる。

 

 

・何となく見えるでしょうか!?
残すところ20秒と5分のベストを更新するだけで、全ての指標を8月にベストを出せていることになる。
乗鞍当日まで残り4日の時点です。
負荷の与え方、量の調整、全てが完璧に計画された通りに進みました。
そして、モトハルに自信が生まれて来ています!

 

 

・しかし、予定していた8月23日(金)は、あいにくの雨!しかも、ジャジャ振り!
実際にはチャレンジしませんでしたが、間違いなく更新することは、私もモトハルも確信していました。
それぐらいに、仕上がってきていました☆

 

私が2018年に行った軽量化をモトハルも行います。
私の機材が、再び乗鞍で羽ばたきます!

 

・完璧に仕上がりました。
そして、レース前の無駄な緊張を取り除く。
心身共に充実しています。

 

この一連のやり取りをご覧頂き、モトハルの変化が分かって頂けると思います。
また、私のアプローチも多少は理解して頂けたと思います。

もう一度、PMCを載せますね。

このグラフを見ただけで、モトハルのベストが出ると思いますか?
ありきたりなグラフです。
もちろん、データとしてとても有益です。

しかし、ここでは見えないものがたくさんあります。
それは、負荷の掛け方、メンタルの状態などです。
どのようにトレーニングを積むのか!?それがとても大切です。

ここからは、少しだけTwitterを披露。

モトハル練習!!

 

仲間が一緒に練習に付き合ってくれました。
モトハルは1人ではなく、仲間から応援され支えられ、乗鞍へ挑むのです!

ここで、モトハルのFacebookの投稿を載せます。

乗鞍part1

2019.8.25
マウンテンサイクリングin乗鞍
〜乗鞍への思いと専属鬼コーチによる特訓〜

今年の乗鞍は特別な思いを持って挑みました。
それは優勝したいとかそんな単純なものではなくて
本当に特別な思いでした。

去年の乗鞍で私はパンクに泣きました。
やってきたことが一瞬で崩れ去ったというか
期待してくれる仲間、応援してくれる仲間、支えてくれる仲間…
たくさんの人がいるのに
なにも結果を出せずにレースが終わってしまい
悔しさしか残りませんでした。

そして、兼松さんの本気の取り組みを見て
胸が締め付けられました。

だから今年の乗鞍では
自分のためじゃなく、仲間のために走りたい、優勝したい。
私を信じ期待してくれて、背中をおしてくれる兼松さんに優勝を届けたい。
そんな思いを持って挑んだのです。

私の乗鞍は約1ヶ月前から始まりました。
それまでは普通に朝練に参加し、一人で走っていました。
でも1ヶ月前からは兼松さんに専属鬼コーチをやっていただけることになりました。

毎回聞かれることは疲労についてなのですが、
自分の疲労度がうまく表現できなくて
初めの頃は疲労がどうかきかれても
「いけます」「頑張ります」とかいう返答しかできなくて
ずいぶん困らせてしまったと思います。反省しています…

朝練は週に3回で、
苦手なインターバルではカウントダウンとともにレックマウントのベルが
チリンチリンと早朝の山に響き渡ります。
(実際には響き渡ってないかもしれませんが私の頭の中には響いてます)

パワーが落ちると、落とすなー!
ゴール前では、負けるぞー!
30秒では、もがけー!などなど
たくさんの言葉が飛んできます。

きっとベルを鳴らしながら、私が苦しんでいるのを見て楽しんでいるのでしょう…笑

そんな苦しいメニューをすべてちゃんとこなせるわけもなく
できないことの方が多くて
メニューがこなせなかったことに落ち込むことが大概。
でも、しっかり追い込めた時は褒めてくれるので
がんばろう!って思えました。

休みの日は一人でメニューをこなします。
いつものように後ろにコーチがいるわけではないですが、
毎日データを見ていただいているので後ろにいるも同然。
さぼることなんてできないし、
さぼったらやってもらってることがパーなので
必死に頑張ります。

8月には朝練に監督やヤマカツ練のメンバーが参加してくれるようになり
さらにきつい特訓となりました。
中でも水曜の朝練が特別きつくて
裏ぶどうのショートで監督に負け、吐きそうになり、
負けたことがすごく悔しいのと
息ができないくらい苦しいのとが重なって
無視をしたわけじゃないんだけど
コーチに声をかけられても何も答えられなかったこともありました。

乗鞍の1週間前には、
ベストが更新できるようにメニューを組んでいただきました。
全てのベストを1週間前に更新することで
私のモチベーションは更に上がり
自分が良い状態であることを実感させてくれました。

私はメンタルによってパフォーマンスがかなり左右されてしまいますが、
そんな私のことをコーチは理解し
心身共に最良の状態で乗鞍当日を迎えられるように
メンタルまでもコントロールしていただきました。

一瞬ですぎた1ヶ月間
コーチだけでなく
たくさんの仲間が私のために時間を割き、汗を流してくれました。

時には悔しさ、苦しさから泣きそうになったこともありました。
でも、こうやって一緒に走ってもらえるということ、
追い込んでもらえるということは
とても嬉しく、幸せな時間でした。
いつもいつも感謝の気持ちでいっぱいでした。

信じていなければ、期待していなければ
ここまで他人に尽くせるでしょうか?
私は仲間の期待を背負い乗鞍を迎えます。

つづく・・・

いいぞ!モトハル!

続く

changingman 兼松大和

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